当科で施行している放射線治療

リニアック装置2台を用いたX線および電子線治療(通常の外照射、IMRT、定位照射、TBIを含みます)のほか、密封小線源治療や非密封小線源治療(アイソトープ治療)などを施行しています。

リニアックは、シンプルな照射から高精度な照射までオールラウンドに治療できる汎用性の高いTrueBeam(Varian社製)とIMRTや動体追尾照射などの高精度治療に強みを持つRadixact(Accuray社製)を有しています。

治療を受けるほとんどは悪性疾患の患者様で、全体の1%弱が良性疾患の患者様です。

放射線治療部門のスタッフは、医師以外に、診療放射線技師、医学物理士、品質管理士、看護師、クラーク、MSW、がん医療相談員などから構成され、チーム医療として医学的内容から社会的・経済的な相談まで幅広く、きめ細かに対応させていただいています。

JASTRO(日本放射線腫瘍学会)の施設認定では島根県唯一の施設Aに認定されています。

診療実績

放射線治療
総症例数
根治&準根治件数 IMRT
症例数
定位照射
症例数
TBI
症例数
密封小線源治療
症例数(のべ数)
非密封小線源治療
症例数
2013 359 254 31 3 6 38 22
2014 393 262 35 4 11 27 42
2015 430 293 50 5 6 20 53
2016 449 320 49 9 8 30 57
2017 493 317 44 12 14 22 38
2018 474 287 58 6 10 39 28
2019 506 316 58 12 12 27 29
2020 541 360 75 23 11 23 36
2021 486 349 83 15 8 37 37
2022 475 331 76 28 7 42 20

 

当科の診療の特長

  1. 当院には肺癌や乳癌など症例数の多い癌腫の患者様のほか、頭頸部癌や肝胆膵癌、血液腫瘍、小児癌、希少癌、原発不明癌など大学病院ならではの癌腫の患者様も多数紹介されます。
    また密封小線源治療は島根県唯一の施行可能な施設であることから、子宮頸癌を中心に、膣癌や外耳癌、胆管癌などの治療も行っています。
  2. 患者様の年齢層は新生児から100歳を超える高齢者まで幅広いです。重篤な合併症が複数あるようなリスクの高い患者様も多くいらっしゃいます。

  3. 当院での放射線治療は、その疾患の主担当科と常に連携し、治療方針を丁寧に協議した上で施行しています。個別の症例の相談や紹介以外にも、定期的に関係各科との合同カンファレンスを施行し、治療前、治療中、治療後の患者情報を共有し、方針を検討しています。また多診療科間での院内キャンサーボードにも出席し、当院のがん治療の要としての役割を果たしています。

  4. 大学病院ですので、根治照射の割合が多いですが、山陰という放射線治療施設が少ない地域に位置するため、緩和照射のご相談も多く、特に緊急を要す照射や、患者様の生活の質(QOL)を上げるための照射にも精力的に取り組んでいます。

  5. 当院では粒子線治療やホウ素中性子捕捉療法(BNCT)などの特殊な放射線治療は施行できませんが、患者様にとって、そちらも治療の選択肢の一つである場合は、主担当科に助言させていただいているほか、施設の紹介も行っております。

  6. 患者様が治療方針を決定するにあたって、放射線治療の説明を聞いてみたいと希望される方には、説明のみの外来も行っています。いろいろな治療選択肢がある上で、各治療のメリット、デメリットを聞いていただき、納得された上で治療を選択できる環境作りに取り組んでいます。

  7. すべての悪性腫瘍を対象にして、セカンドオピニオンも受けております。当院の意見あるいは放射線治療科の意見や見解を聞きたいという患者様がおられれば、当院地域医療連携センターのホームページをご参照のうえ、FAXにてセカンドオピニオンをお申し込みください。

 上記の手順により、主担当科の先生と充分に方針を検討してから当科に受診いただくシステムになっておりますので、患者様に主担当科と一貫したご説明を行うことができ、また患者様にとりましては、放射線治療開始までの当科への受診が最小限で済むことから、体力的に厳しい患者様や、遠方から来院される患者様やご家族にとりましても負担の軽減となっています。